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むかしライフ研究室

第13回研究テーマむかしの装飾品いろいろ

【変わった形のペンダント!?】

  • アクセサリーで身を飾 (かざ) るのはなにも現代人だけではありません。遠い昔の縄文人・弥生人も土・石・貝・骨などで作ったものを身につけていました。とりわけ弥生時代には大陸からもたらされたガラス・玉・金属製のものが加わり一層華 (はな) やかなものが出現します。


  • 土製勾玉
    大明地遺跡
    (広島市)

  • ガラス製切子玉
    西本6号遺跡
    (東広島市)

  • 銅釧
    (青銅製の腕輪)
    浄福寺2号遺跡
    (東広島市)

  • ガラス小玉・管玉 石製管玉
    和田原D地点遺跡
    (庄原市)

    分銅形土製品
    サコ田遺跡(福山市)

    横からみると・・・
     

    分銅形土製品
    助平2号遺跡(東広島市)

    分銅形土製品
    手坊谷遺跡(福山市)

    そんななかで一風変わった形のものが,弥生時代の住居跡などから見つかっています。形が江戸時代のはかりに使われた分銅と呼ばれるおもりに似ているところから分銅形土製品(ふんどうがたどせいひん)と名づけられています。

    この土製の珍しい形をしたペンダントは,岡山県や広島県東部を中心とした瀬戸内海沿岸地方で多く見つかっていますが,何に使われていたのかはよくわかっていません。

    しかし,この土製品は,よく見ると人の顔をしていませんか?細かな櫛目(くしめ)の模様は,頭の髪の毛や首飾りのように見えます。また,目や口などをはっきりと表現したものも見つかっています。


  • こうしたことから,この土製品は,豊作(ほうさく)への願いとか,悪霊(あくりょう)をはらう「お守り」として使われたり,あるいは,その地域に住む人たちが行う「お祭り」で用いられたものと考えられます。持ち主は,集団のなかで,占(うらな)いや予言なども行っていたのかも知れませんね。

研究室からひとこと
  • 現代に生きる私たちは,単にファッションやおしゃれ感覚(かんかく)でアクセサリーを身につける場合が多いようですが,昔の人たちにとってアクセサリーは,そんな単純なものではなく,装飾(そうしょく)以上の願いや思いがあったようです。 

    このように発掘調査で発見された一つのペンダントから,当時の人々の考え方や暮らしぶりなどを思い描くことができるのも,考古学の楽しさですね。

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